FC2ブログ

2008年ハードグルーヴ~ミニマル界隈雑感

-このサイトではハードグルーヴという言葉は、旧来のハードミニマル、ハードテクノの流れを汲む一連のシーンを表す語として使用しています。また、ミニマルという言葉はドイツから発生した、いわゆるクリックテクノの流れを汲む、音数の少ないディープな音(を作る群)を表す語として使用しています。この記事は、ハードグルーヴ視点から近年のミニマルの流れを追うものとして書いています。

----------

2007年も概ね好みの音に出会えましたが、2008年はそれに輪をかけて、かなりテクノを楽しめました。(Trakor Scratchを導入した影響もあるのでしょうが。)

  2005年に Adam Beyer - A Walking Contradiction [Plus 8] がリリースされて以降、ハードグルーヴ界隈のテクノのミニマル化が推進されてきました。その流れで、全体的に柔らかくなりすぎていた2006年(ちょっと退屈でした…。)に比べ、2007年はちょっと硬くなり、派手な表現も増えてきました。2008年前半はその延長上にあったかなと思います。また、後半にはちょっと変化(後述)が見えてきました。

 今年は何といってもDrumcodeの年で、怒涛のリリースが見られました。36番から50番まで、計17リリース。主にスウェーデンの外のコンポーザーが中心で、Joey BeltramやThe AdventといったベテランからKyle GeigerやMuseumといったニューカマーまで、高品質なハードトラックをリリースしていました。どの曲も近年のミニマルの流れを汲みつつも、ハードでグルーヴィーに仕上がっていて、とても好みの音ばかりでした。

 さて、ハードグルーヴ~ミニマル界隈には、2008年後半には気になる大きな2つ流れが出てきています。1つはRadio Slaveの影響か、ザラリとしたディープな音がハードグルーヴ屋さんに流入してきたことです。特にChris Liebing周辺で顕著です。Speedy Jが主催する、Minus傘下のElectric Deluxeレーベルとか、Ostgat Tontragerを主催するMarcel Dettmannとか、著名ハードグルーヴDJの間で流行りまくっています。もう1つはトライバルです。カッチリとしたミニマル・グルーヴの上でリズミカルにパーカッションを乗せたものや、生音を大胆に取り入れた派手なものまで、リリースが多くなってきています。Be As One, 100% Pure, Oslo, Remote Area, Area Remoteレーベルあたりが要注目ですね。アーティスト単位だとSISやGel Abrilとか。

 もう少し細かい動きとしては、気になるところがさらに2つ。1つはこれまでテクノ寄りの音を作っていたプログレッシヴ・ハウス勢が、グルーヴィーに低音を作りこんだ、テクノと極めて親和性が高い音を作っていることです。Fergie, Steve Lawler, Steve Angelloが特に良い仕事をしていたと感じます。Steve LawlerはDrumcodeからもリリースしてしまいましたね(48番)。もう1つは過去曲のリメイク(リミックス)です。過去の名曲を最近のミニマル・グルーヴに合うように作り変えたものがちょこちょこリリースされています。Devilfish - Manalive [Bush]やら、Umek - Gatex [1605]やら。いいぞ、もっとやれ。

 アーティスト単位で見てみると、今年もDubfireとRadio Slaveがやりたい放題でした。どの曲も極めて質が高くて、聴いてて面白いです。他に目を向けてみると、Mark Broom旋風が吹き荒れているようです。有名無名、かなり多くのレーベルから自身の楽曲やリミックスをリリースしていました。20:20 Visionsからもリリースしたときは衝撃を受けました。あとは、Christian Smithが結構いろいろなところからリリースしていて、若干ミニマルに寄りつつも分厚いテックハウスで、どの曲も質が高く仕上がっていました。 Total Departureは素晴らしかったなあ…。The Advent & Industrialyzerは狂った曲を大量にリリースしていて面白かったです。Bushからリリースされたのはどういう精神状態で作ったんだ…。あと、個人的に今年からグッと注目するようになったアーティストとしては A. Mochi, Alan Fitzpatrick, Gary Beck, Gennaro Mastrantonio, Redshape, Shin Nishimura などです。

 シーンへの影響度という点で重要なレーベルと考えてみると、Cocoon, Drumcode, Minusなど、伝統的なレーベルは言わずもがなですが、それに加えて、Dubfire主催のSCI+TEC Digital Audioが強い影響力を持ち始めたように感じました。Beatportの売れ筋を眺めていると、SCI+TEC Digital Audioでリリースされたアーティストのその後の注目されっぷりがすごいです。あと、要注目レーベルとしてはItalo Businessとか。イタリアンミニマル系の音を大量にリリースしています。梅さんがあまりにこのレーベルが好きすぎてリリースまでしてしまいました。このレーベルの曲は突き抜けた印象はないものの、どの曲も質が高い。

 旧来のような激しいハードテクノ / ハードミニマルのリリースは、メインストリームではなくなってしまったものの、Beatportを見てみると、まだまだ頑張っている人が多いのがわかります。Naked LunchレーベルやThe Advenなど、UKハードミニマルを発祥とするものや、Marco Bailey周辺に端を発するベルギー産ハードテクノを由来とするファンキーなハードテクノなど、けっこうありますね。ナポリハードミニマルやスウェディッシュハードミニマルを発祥とするものは、現在ではほとんど無いのが残念ではありますが。

 来年はどうなるのでしょうか。ぐるっと一回りして Loop-Orientedなハードミニマルがまた流行るんじゃないかなー、なんて思っているんですが、半分願望です。近年のミニマル化の流れについては、私は歓迎しているんですけどね。ボーダレス化してて楽しいし、時代の流れによって変化していく音楽は面白いね。(ボーダレス化したせいで、各テクノ DJの個性が薄まってきているという問題もあるんですが…。)まあハードであれソフトであれ、グルーヴィーなのが出てくれれば私は満足です。

 それにしても、最近のミニマルって、特徴的なフレーズに乏しいのでアンセム化しにくいですね。ナマパンコみたいなのがまた現れる日がくるのでしょうか。

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

Keif (gomma)

Author:Keif (gomma)
- Twitter
- SoundCloud

ブログ内検索